ハ行四段活用の動詞「能ふ」の前の動詞の活用形には要注意!

S.M君との漢文授業で、新しい発見がありましたので、皆さんにもご紹介いたします。

終身不能復忘(出典『宋名臣言行録』)

◇読み:終身また忘るるあたはず
◇意味:生涯二度と忘れることは出来ない

今回、私が注目したのは、能はずの前の下二段動詞「忘る」の活用形が連体形になっていることです。
動詞を動詞として二つ連続して読むのは難しいので、一般に前者を後者の目的語化して対処するとしっくりいきます。

ここでの場合は、前者「忘る」を後者「能ふ」の目的語と解釈し、連体形にして「忘るる」とすれば、意味上「忘れること」を能はずとなり、つじつまが合います。

つまり本来なら、『終身また忘るることあたはず』と読むべきなのでしょうが、名詞の「事」が本文中にもないので、『終身また忘るるあたはず』と動詞の名詞化(連体化)をして不足分を語中に補う用法と解釈すればいいと思います。
このパターンは、動詞が二つ連続した時に応用出来るので、漢文・古文を問わず覚えておくと文法上の解釈に役立つと思われます。

また、句形の「不復」にも要注意です。
◇読み:また~ず

◇意味:二度と~しない,二度とは~しない

否定語(不)+副詞(復)の順は一般的には部分否定となることが多いですが、「不復」の形はそうであっても、解釈上は全否定です!

この例文は一粒で二度美味しいタイプなので、ぜひ暗記してしまうことをお勧めします。

2021年12月16日 漢文授業より

 

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